２０１１年５月１７日大佐渡山脈の標高９００ｍの石和和木林道の峠に県有林の天然杉をめぐる新しい遊歩道がオープンした。この遊歩道は、車ですぐ近くまで行くことができ、年配者や子供連れでも歩くことができる。２２日（日）には大勢のハイカーが訪れ、佐渡の豊かな自然を楽しんでいた。
新潟県の新発田市赤谷地区にもそれに匹敵する天然杉の林がある。それは、馬ノ髪山から俎倉山、岩岳に続く山域であり、新潟県の天然杉特別保護区域に指定されている。幸い、標高７５７ｍの馬ノ髪山には登山道があるので、その一端を垣間見ることができる。
私たちの知る杉林のほとんどは植林された杉林である。同じ時期に植林された杉は、樹齢が同じだから、樹姿も樹高も同じ、林床は暗く、林地には、植物はまったく育たない。
それに対して、天然杉の林には、樹齢の異なるいろいろな杉があり、なかには、樹齢が数百年の巨木や特異な形状した奇木が多く残っている、天然杉の林の特徴は、日が差し込むので、明るく、林床には、イワカガミやスミレなどの山野草が咲いている。
２０１１年５月２６日（木）林道の雪も解け登山口まで車が入るだろうと見込んで、馬ノ髪山に向かった。上赤谷で右折して、県道１４号線を三川方面に向かう。阿賀町上綱木集落の日の出橋手前で左折して、新谷林道に入る。全面舗装された良い道である。途中、丘の上に立つ「夢ハウス山荘」の下を通過し、約１５分で、登山口に着く。
登山道は、前半は沢沿いの登り、後半に急な尾根の登りがあって、変化に富んでいる。佐渡の整備された遊歩道と違って、誰でも気楽にいける道ではない。
沢沿いの道は、渡渉点が何度もあるので、目印の赤いテープを見落とさないように、慎重に足を進める。約５０分で、尾根の取り付き点に着く。
ここからは明瞭な道となるが、山頂まで、たるみのない一本調子の登りである。登り始めてすぐ、天然杉が現れ、天然杉の林立する尾根となって、自然の造詣美をたっぷり楽しめる。中には、直径が１ｍを越すような巨木や根元で数本に別れた奇木もある。足元には、イワカガミが可憐な花をつけ、登りの苦しさを癒してくれる。
３０分ほどで杉林が終わり雑木林となるが、山頂手前（扇の平）で、再び、天然杉の茂みが現れる。この付近の天然杉もなかなか立派である。
ここを抜けると、前方が明るくなって、馬ノ髪山の山頂に飛び出す。山頂には、三等三角点があり、展望は抜群で、わずかに西方向の一部が天然杉の茂みで隠されているだけで、四方の山々が見える。前方（東）には、俎倉山を前衛に蒜場山が座り、左（北）には、焼峰山、二王子岳が大きく、その間を真っ白な飯豊の山々が埋めている。南側の斜面は、緑の原生林に覆われ、その中に天然杉の茂みが点在する。その後方に見えるのは、御神楽岳だろう。
すばらしい眺めに満足し、同じ道を引き返す。沢沿いの道では、ぬれた岩に足をとられないように、一方、テープを見落とさないように慎重に下る。
新谷林道の途中から望む馬ノ髪山は、登山道のある尾根に沿って、天然杉の林が「松の廊下」のようにつながり、独特の景観を作っていた。（２０１１年５月２６日）
■上の写真 : 馬ノ髪山（右上） 馬ノ髪山の天然杉（左下）
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