馬ノ髪山（７５７ｍ）は、大日岳から蒜場山に伸びる長大な尾根の末端にある。その手前(東)に俎倉山があり、棚橋山とともに、三山を形成している。

  山の北側（新発田市側）は急峻な岩稜だが、南側（阿賀町側）はなだらかな斜面が広がっている。斜面には、点々と、天然杉の茂みが見られる。この山域は県の天然杉特別保護区域に指定されているということだ。登山道にもたくさんの天然杉があり、その一端を垣間見ることができる。

  登山道は、前半は沢沿いの登り、後半に急な尾根の登りがあって、変化に富んでいる。

  ２０１６年５月２日（月）大型連休の晴れの日をねらって友人と二人でこの山に登った。

  上赤谷で右折して、県道１４号線を三川方面に向かう。上綱木集落の日の出橋手前で左折して、新谷林道に入る。全面舗装された良い道だ。途中、丘の上に立つ「夢山荘（ハウス）」の下を通過し、約１５分で、登山口に着く。

  登山口には、道路右側に車が数台置ける広場がある。小さな小屋と「馬ノ髪山登山口入り口」と刻まれた新しい石の標柱が立っている。

  登山道に入ると、すぐ、砂防堰堤があり、その左脇の階段を上って、堰堤の上に出る。堰堤から杉林の上に目指す馬ノ髪山の山頂が見える。

  これから先は、沢沿いの道となる。渡渉点が何度もあるので、目印の赤いテープを見落とさないように、慎重に足を進める。約５０分で、尾根の取り付き点に着く。

  ここからは明瞭な道となるが、山頂まで、たるみのない一本調子の登りである。登り始めてすぐ、天然杉が現れ、天然杉の林立する尾根となって、手つかずの自然を見る思いがする。中には、直径が１ｍを越すような巨木もある。

  ３０分ほどで、杉尾根が終わり、潅木帯となって、ロープ（２箇所）のある急登が３０分ほど続く。途中、展望の利く場所があって、背後の五頭連峰や菅名連峰が望める。

  ここから少し登ると、傾斜もゆるくなって、馬ノ髪山の肩に出る。この付近は扇の平と呼ばれているところで、再び、天然杉の茂みが現れる。小さなくぼ地を過ぎ、少し登り返すと、前方が明るくなって、馬ノ髪山の山頂に飛び出す。

  山頂には、三等三角点があり、その傍らに新しい山頂の標識が置かれている。展望は抜群で、わずかに西方向の一部が天然杉の茂みで隠されているだけで、四方の山々が見える。前方（東）には、俎倉山を前衛に蒜場山が座り、その左肩には、大日岳の尖頂が見える。左方（北）には、焼峰山が目前に迫り、その左に二王子岳の大きな姿がある。この二つの間に、飯豊連峰の山々（北股岳）が光っている。右方（南）には、棒掛山が大きく、その右に、御神楽岳や川内の山々が勢ぞろいしている。

  すばらしい景観に満足し、同じ道を引き返す。時々、右に木々の間から、馬ノ髪山以西の山（棚橋山？）が見え隠れする。

  沢沿いの道では、ぬれた岩に足をとられないように、一方、テープを見落とさないように、左右前方を常に注意しながら慎重に下る。

  下山後、新谷林道の途中にある「夢山荘」に立ち寄る。管理人は不在だったが、テラスの上から望む馬ノ髪山は、登山道のある尾根を前面にして立ち上がり、すばらしい景観だった。(２０１６年５月２日)